2028/05/04 木曜日

「はぁぁぁ!!」
こっちに飛び掛ってきたモンスターを蹴り飛ばしブレードにパワーを溜め切り裂く
家への帰り道の途中に遭遇した
「ふう…」
<チェンジ・アウト>
モンスターを倒すと同時にチェンジを解除する
俺の体からにゅっと出てきたファディアが怪訝な顔をしていた
「なんだよ?」
「おめえ…戦闘経験があんだろ」
「だからゲームだって昨日も言ったじゃん?」
人間のそれよりでかく厳つい顎に手を当ていぶかしんでいる様だ
「それだけじゃねぇ気がすんだけどなぁ…」
事実確かにゲームだけじゃなく戦闘経験は確かにあるが…話すようなことじゃない
んー?と悩みながら俺の右手に吸い込まれていった
最初はびっくりしたがチェンジするときに使っているカードもどっかにいってるので気にしないほうが建設的だと判断した
ファディア本人にも説明できないみたいだし
そのとき曲がり角から人が来る気配がしたので立ち止まるが…
「ん?」
なんと向こうも止まった
こんな芸当ができる知り合いは限られてくる
いや、知り合いじゃないかもしれないが…と思ったら
ぴょこっと曲がり角から顔を出す
綺麗なロングヘアー美しく整った顔立ちで妹と対極の丘を持っている
「やっぱり、リュウくんです!」
ニコッと微笑みかけられる
「御機嫌よう、リュウくん」
「ああ、ごきげんよう綾」
シガサキエンターティンメントという会社が…まぁようはデカイ会社だ
そんな会社の社長の一人娘が俺の目の前にいる彼女…梓ヶ崎綾だ
社交界で広い交友関係を持つ梓ヶ崎だが特に仲がいいのが…
「偶然ですね、えへへ♪」
超絶金持ちの新藤家だった。何がどうやって仲良くなったのかは知らないし知る気もない
「いったいどうしたんだ?一人で歩いて」
そう聞きながら綾の後方に意識を飛ばすと3人ほどガードがいた
「晴れているのでお散歩です」
にこにこしているが彼女がふらりと外出すると彼らの仕事が増えるのだが気づいているのだろうか?
どうも心配性の父親は常にガードをばれないようにつけているようだ
「家にくるか?」
ふと思いつきで言ってみた
「あら、お招きくださるのですか?嬉しいですわ」
胸に両手を合わせて嬉しそうにしている
「愛梨がまた紅茶をブレンドしたみたいなんだ」
「あら?そうなんですの?ほんとに好きなんですのね」
こちらを意味ありげに見ている綾
「なんだよ、その視線は?」
「愛梨ちゃんの好きなことってリュウくんも好きですわよね?」
へんな視線でこちらを見てくるので視線を外す
「兄妹なんてそんなもんじゃないのか?」
「あら?そんなこといいますの?愛梨ちゃん可愛そうに」
頬に手を当てほぅと息を吐いた…わざとらしい
「だっー!わかったわかった!この話はもういいだろ」
そりゃ近くにいるのだからそれくらいは分かる
彼女が俺の喜ぶことを探しているのは分かっている…十分すぎるほどに


-saito-

少年は数回目になる行動を作業的に行う
「チェンジ!」
<チェンジ ピクシー・ペガ>
「さて!」
「グルルル!」
マンションの壁に張り付いているモンスターを掴み屋上に放り投げる
「グルルルル…グアァ!」
壁を走り屋上に飛び降りる
飛び掛ってきたモンスターをコーンスピアーで弾き返す
「それっ!はっ!!」
少年はとある夜中にやってくるモンスターを倒し続けていた
<フルパワー>
「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
パワーを溜めたスピアーでモンスターに止めを刺す
止めを刺したそばから新しいモンスターが飛び込んできた
「飛行型か…」
ベルトの脇にあるフォームチェンジスライダーを引く
<ペガサスフォーム>
音声と共にヘッドアーマーとボディアーマーが変化する
武器のコーンスピアーが消失してペガシューターが彩斗の手に出現する
「はっ!やぁ!」
飛行するモンスターに怒涛の弾丸が飛んでいく
「グギャァアァァァ!」
ダメージを負ったモンスターが降りてくる
<フルチャージ>
ビームショットがモンスターに降り注ぐとモンスターは断末魔と共に消え去った
少年は変身を解除するとその場に座り込んだ
右手から探偵のような格好をした獣人が飛び出し少年の肩に着地する
「さすがに疲れたか?彩斗」
「ああ…今何時だ?」
ポケットから懐中時計を取り出す
「ふむ1時だな」
少年はいつの間にかついた習慣で辺りを見回すがもう新しいモンスターは出てくる様子はない
「1時間は戦っていたな。新記録だ」
「そんな記録いらない…ん?」
彩斗は階段から誰かが上がってくるのを感じた
扉が開くとそこには白衣を着た女性がこちらを見ていた
「あの…なにか?」
彩斗は明らかに相棒の妖精-ペガル-に目を向けていることに気づき警戒を高める
「貴方が…七海さんの弟さんね」
「それが?」
後ろから3人兵士が出てくる
「お願い…ついて来てくれないでしょうか」
女性は無表情で言い切った
「強そうな人を並べてお願いはないでしょう」
相棒がやれやれと首を振る
「お断りだと言ったら?」
女性は何故かうつむき何かを呟く
「荒い方法を取らざるおえません」
後ろに並んでいる兵士がブラスターを構える
「やるぞ!ペガル!」
ペガルが光に包まれ収束するとカードに変化する
それと同時に腰にベルトが出現する
カードをスロットに差し込む
<ペガ、レディゴウ!>
「チェンジ、ペガサス!」
<チェンジ ピクシー・ペガ>
変身した瞬間からブラスターの弾が飛ぶの横に飛んで避ける
「はっ!」
足を狙いシューターを放つ
「なにっ?」
「うお!」
ペガシューターの弾は羽のような形をしている
その為か戦闘経験のある兵士たちも避けづらそうにしている
(彩斗、彼らは能力者達です。あのチョッキも対エネルギーアーマーでしょう)
「じゃ、まともに撃ち合っても効かないのか」
降り注ぐ弾幕をかわしていると1人がエネルギーブレードを展開し接近してくる
右からの上段切りだと読んだ彩斗は左に避けてわき腹に蹴りを入れる
「ぐおっ!?」
兵士は予想外のパワーに勢いを殺しきれず思い切り地面に叩きつけられる
「な、なんだこいつ!」
「ただの野良じゃねぇ」
「当然でしょう?彼は様々なタイプのシャガイアを相手にしてきたはず。気を引きしめなさい」
そのときに兵士の動きが止まったのを彩斗は見逃さなかった
シューターをあからさまに女性に向けて撃つ
「藤井博士!?」
一人の兵士が間一髪でその弾を受け止める
全員に隙ができたその間にベルトのスライダーを下げる
<ホースフォーム>
「あれは…フォームチェンジ!?そんなことできるオリジナルがいたなんて」
女性は驚いている様だったが気にせずホースフォームのスピードで屋上の端までいく
「ま、まてっ!」
「じゃあね」
思い切りジャンプし、フェンスを飛び越える
兵士が落ちていった方を見るがマンションの前の道路には彩斗は見えない
「すいません!逃がしました!」
「…!」
「……」
彩斗は賭けで自分の家のベランダに飛び込んだが彼女らはベランダに飛び込んだところを見ていなかったようだった
「ここまで来るから家ぐらい知ってるもんかと思ったけど…」
(たまたま見つけただけのようですね)
ベランダに隠れて下を見ているとしばらくして彼女らは出て行った
彼女らが車に乗り離れていった瞬間に変身が解ける
「ふぅ…なんとかなったなペガル」
「ええ、お疲れ様でした」
リビングに戻り再度時計をみると10分も経っていなかった
彩斗はそのときにようやく気がついた
疲労していたのと気が緩んだせいで普段気がつけなかったのだ
コーヒーの香りと…
「おかえり」
もう1つのカップを差し出される
「ね、姉さん?」

-END-

『大図書館の羊飼い-Dreaming Sheep-』2014年3月28日発売予定、11月29日より全国のPCショップで予約受付開始です。