2028/05/04 木曜日

ゴールデンウィーク2日目
私、古川七海は何をしているかというと…
「ふーむ…いくらなんでもこのビジュアルで小学生はないでしょ。でもカッコいいなぁたっくん」
ベットに寝転がり半袖のティーシャツにパンツだけというとても人様に見せられない格好だった
だって楽なんだもん
「姉さん、入っていいかな?」
控えめなノックと共に弟-彩斗-が問うてくる
「んーいいよー」
入ってくるなりゲンナリする弟
「とても入っていいよって言える格好じゃないよな?」
こちらを見ずにいう
「いいじゃない?家族だし。彩斗が私を襲いたくなるなら考えなきゃいけないけどね」
やれやれとでも言いたげなしぐさをする
「沼畑先輩が迎えにきてるよ?」
「あれ?もうそんな時間だったっけ!?今すぐ用意するから!」
「先輩はリビングで待ってるからな」
時間を見てなかっただけで用意は完璧
それでも時間かかるのが女の子だけどね
彼とは初等部から一緒でなんやかんやで縁のある人物だ
今日だってとある理由で一緒に行く場所がある
20分後、用意ができてリビングに行くと何を勘違いしたのかお母さんが熱心に私をよろしくと言っていた
「もーいつも言ってるでしょ!沼畑くんも困ってるじゃない」
いつも冷静なー沼畑恭夜ーもうちのお母さんにはたじたじで終始苦笑い必至だ
「それでは行きましょうか、七海さん」
「うん、そうだね」
「うふふ、いってらっしゃい」
うふふに異議があったけどキリがないので聞かなかったことにした

-hibiki-

「夙川博士!最終段階までクリアです!」
「そうか…やはりこの条件がもっとも問題が起き難いのか?」
シリンダーの中にある機械を取り出す
「ふむ…コストは?」
「データが集まらないと正確にはわかりませんが…シャークドライバーの6割減といったところでしょうか」
研究員が演算データを見せてくる
「6割か…量産化がみえてきたか…姫は?」
「はい、先ほど到着したようです」
「そろそろ姫を騙すのも可愛そうだ。良いデータが欲しいな」
ディスプレイに映っている少女に目をやる
「向こうの準備完了!」
「よし…始めよう」
ディスプレイに-姫-が映る
さまざまなコードやらなにやらに繋がれている
最初よりはマシになったようだがそれでも彼女の顔は浮かない
「やあ、こんにちは。その後の体調はどうだい?…七海さん」

-END-

とある日、あれは初等部の臨海学校だっただろうか
気持ち悪い生き物が生徒を襲った
そのときになにが起こったのかは正直覚えていない
分かるのはその怪物に-何か-を植えつけられたことだ
何人もの生徒が被害に遭い中には大怪我を負った子もいた
しかしそんな非常識なことが起こったのに何故かニュースにもならなかったし親も騒いだといった記憶がない
それから私は沼畑くんに連れられてここに週に1度通い治療してもらっている
正直ここがどんな施設か知らない
でも、最初は-何か-のせいで五感がおかしくなったりしていたが通うようになってから徐々に良くなっていて今は治療よりも経過観察の意味が強いらしい
このコードも最初は怖かったがもう慣れてしまった
慣れても気持ちの良いものではないが
「やあ、こんにちは。その後の体調はどうだい?…七海さん」
いい人そうなひげの生えたおじさんが話しかけてくる
「なにも問題はないです。響さんの言う幽霊みたいのも見えなくなりました」
最初のころはあの生徒を襲った怪物が見えていた
しかし治療を始めるとそれは徐々に薄まっていき最近はほんの少し感じる程度に収まっていた
「それは良かった。七海さんだけ治療の効き目が遅かったから、こちらも心配していたのだよ」
大げさにため息をつき安心したという表情を浮かべる
治療は怪物に襲われた、接触した人物全員に行ったらしい
しかし、私だけなかなか解放されず高等部に上がった今でも治療を続けてもらっている
向こうは新たな病の治療法の勉強にもなるからと治療費を取らずに続けてくれている
「では始めようか、いいかい?七海さん」
「はい」
私は基本的に何もしない
コードに繋がれ機械のイスに座ると徐々に眠気が襲ってくる
それに従い、起きるとベットの上で横になっているのだ
「おやすみ…眠り姫」

-kyouya-
「力の抽出、うまくいってないんですか?」
七海がディスプレイから消えたのを見計らって現れる
「いや、順調さ。見てのとおり」
怪しげな笑みを浮かべた白衣の男-夙川響-は自分の研究結果である物を摘みあげる
「これがあればかの勇者くんのようなビーストアウトに似た現象を起こすことが可能だ…まぁ彼に比べると大分パワーはないが、量産化のコストを考えるとそんなもんだろう」
投げ渡された試作品ドライバーを恭夜は眺める
「にしてはまだ続けていますね」
椅子をギスギスならしながら響がフッと笑う
「珍しくズヴェートとタブェンタリアから同じような依頼を受けてしかも研究費までもらったからな。余りの分まできっちりやらないと」
「そんなこと言ってこの中に密偵がいるとか思わないんですか?」
響は恭夜のほうに向き直り言い返す
「別に技術を盗む奴とか、今のこの状況を報告する奴がいるかもとか思うのは自由だ。でもな…」
響は全員を見渡す
「今ここにいる奴は自分の思うがままに研究ができるんだ。そりゃ今は私の指示に従ってるけど、こんな大きい依頼がなきゃ各人好き放題なんだよ?そんな状況をぶっ壊したい奴は研究者の風上にも置けないな!」
「そう…ですか。納得はできませんが理解はできます」
響は大げさにヤレヤレと首をふる
「あ、そうそう。理解できたならそのドライバーをつかってデータを収集して欲しいな」
恭夜はため息をつく
「ここに来るたびに面倒ごとを押し付けられているのは気のせいですか?」
「気のせいだな。カードはバイド君のを使ってもらってかまわない。使えば勝手にデータを此方に送信してくれるが…使ってみた感覚なんかも聞かせて欲しいな」
「失礼します」
きっぱりとそう言い返すと恭夜は研究室を後にする
研究所を出て外に出るとまるで待っていたかのごとくシャガイアが現れる
「まさか博士が用意しておいたんじゃないだろうな…」
湧き出るかのごとく後ろからサーベルタイガーが現れる
「テキ、カ?」
ここは一応研究施設だから頬って置いても警備システムが作動するだろう
「そうですね、バイド」
バイドとよばれたサーベルタイガーの体がカードに収束され恭夜の手に飛んでいく
先ほどわたされたドライバーを下腹部に当てるとベルトが伸びて固定される
「チェンジ!」
中央スロットにカードを差込み起動音が鳴る
<シーカー!>
中心のボタンを押すとライトウェア、アーマーが恭夜の体に召喚される
「さて…」
腕に装備されているタイガースラッシュを展開させ怪物に振り下ろす
「ふっ、はっ!!」
怪物を蹴り起こし突き刺す
中央のボタンを再度押す
<オーバードライブ>
地面を切り裂くとそこからタイガーのような衝撃波が飛ぶ
「グガァァァァ!!!」
「まぁまぁ…ですね」

-END-

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