2028/05/03 水曜日

-???-

「右からまっすぐ横に振れ!そのまま体を一回転させろ!」
「突くな!押し返せ!」
「左から右へ振り下ろせ!」
言われるがままに剣を振り続ける
すべて《剣が教えてくれる》
無数、数種類の謎の生き物
斬り続ける
気がつくと俺は大きい部屋にいた
周りに生き物がいなくなったのにようやく気がつき部屋の真ん中で走るのをやめる
そのとき左から誰かが来た
そんなこと今まで感じなかったに
初めて人が来ると悟った
反射的に剣を構える
「まて…彼は敵ではない」
そう《剣が教えてくれた》それを信じて剣を下げる
この部屋に来たのは白い騎士だった
「そうか…そういうことか」
白い騎士の表情は分からないけど此方を見ると納得したような事を言う
「お前…なかなか様になってたぞ」
剣のことだとすぐにわかった
「あ、ありがとう」
「いいか?お前はその剣で----を守らなきゃいけない…なにがあっても------ることは許されない。たぶんその為に----されたんだ俺--は」
なぜか大事なところが聞こえない
何を守らなきゃいけないのか
「こ--をわ----う。ファディアが------をおしえ----れる」
だんだん視界がぼやけて来た
もうなに言ってるのか…分からない

-END-

フッと視界が戻る
そこは自室の天井だった
ベットに横になっただけだったが眠ってしまっていたらしい
「あの騎士は…何を言っていたんだ?」
思い出そうとしても何も分からない
ただの夢なら何もここまで気にならない
ベルトにカラビナでくっ付けているパスケースを見る
何も描かれていない白いカード
プラスチックのような何かで出来ている
これが騎士にもらった物だ
しばらく眺めると制服を着っぱなしにしていたので部屋着に着替えた
恐らく他の同年代の部屋より倍近く広い部屋を出ると余計に広い広間に出る
3階まで吹き抜けなので余計に広く感じる
「あら?兄さん」
胸が強調されている可愛らしいワンピースを着てセミロングの髪を綺麗に1つにまとめている
同級生の目を奪う綺麗な顔立ちとわざと見せている谷間
「兄さん?なんだか…」
顔がすこしづつにやけている。目がどこに行ってるか分かっているらしい
「いや、なんでもないよ」
速やかに我が妹-新藤愛梨-の残念な胸から目を離す
1階の広場にセットしてある俺用の固めの椅子に座る
「兄さまも飲みます?」
大理石で作ったローテーブルに置いてあるティーポットが目に入る
ちなみに価格は知りたくも無い
「レディグレイです」
確か…アールグレイをベースに作り変えたヤツだな
「なぁ?ウバってなかったっけ?」
「ウバですか…?」
乳母ではないウバだ
スリランカ産で標高1200m以上の場所で作られた紅茶で世界三大紅茶の内の1つ
セイロンティーの種類の1つだといえば分かりやすいかも知れない
「うーん…」
我が妹が無防備にワンピースの裾が長くないのを気にせずにローテーブルの下に頭を突っ込み探し出す。
「愛梨、水色の綺麗なショーツが見えているが?」
「来客が居ない時ぐらい楽にさせてください」
どうも気にしていないらしい
確かに友人や来客時にはしっかりしているので気にする事でもないか…
「いつでも気を張っていたら気疲れしてしまいます。ですから見たければ御自由にどうぞ?見せてとお願いしてこなければ大丈夫です」
腰をワザとフリフリしてショーツを強調させる
「やれやれ」
すぐに目を外し天井を仰ぐ
いつの間にかニコリとこちらに笑いかけていた
「兄さんので信頼して冗談を言うのですよ?」
「妹に信頼されて喜びも隠せませんなぁ」
キリッっとした顔で頭を下げる
「ところで兄さんのウバはありませんでしたよ?」
「ん?あぁそっかじゃそれでいいや」
「はい、どうぞ」
すでにカップに淹れていた
「どーも」
フルーティーな味だった
「どうです?」
「フルーティーだな」
「その感想だと砂糖菓子を食べて甘いなって言ってるようなものじゃないですか」
ムッと返されてしまう
「うむ、そりゃそうだがこれが模範解答だろう?」
実は感想を言うのは面倒なので説明書通りに答えた
「ううう…まぁそうですが」
しょんぼりしてしまった
話を変えよう
「そういえば今日の夜ご飯はなんだ?」
「パイン乗せ酢豚、メロンスープにオレンジの果汁を練りこん…」
「アールグレイを殺さない程度に柑橘、矢車菊の香りが香るな。なかなかいい配分で柑橘の皮が効きちょうどいい。うちにあるのはボトルだろう?よくちゃんとレディグレイ特有の味を失わせずに淹れられたもんだ。さすが愛梨、俺も叶わないな」
ヤバイメニューだと悟った俺は普段発揮しないであろう饒舌さを発揮して思いつく限りの感想を並べつつ最後に愛梨を褒める
「最初からそう言えばいいんです」
ニコニコしながら上機嫌なったようだ
「今日は魚の煮付けと兄さんの好きなアボカドサラダですよー」
これで今夜も安泰だ

誰か!オレの声が聞えるヤツいねえのか!!

「え?」
「どうしました?兄さん?」
「いや…今変な声が…」
無意味にキョロキョロするがそんな声が聞える要素は見当たらない
そもそも広間にTVもラジオもない

おい!くそっ!ここにもいねぇか…

声が遠ざかっていく
いや、まてどこかで聞いたことが…
そのとき空中にVR画面が開く
チラリと見ると俺のスマホに電話が来てるお知らせだった
「兄さんですね」
「鈴村からだ」
VR画面を操作し、スマホを遠隔操作して横に設置してある受話器で電話に出る
「新藤か?悪いが今から部室に来れないか?」
「はぁ?今からか?」
チラリと小首をかしげる愛らしい妹を見る
「俺はこれから世界で一番すばらしいアボカドサラダを食べるという最高の…」
「部室がひっくり返したように荒れてるんだ!他もいくつか荒れてる場所があるんだ!」
「…は?」
部室が荒れてる?
その時に写真が送られてくる
「うわ…これは」
確かに酷い…
いろんな物がぐちゃぐちゃになっていてさまざまな生徒が映っている
酷すぎるが故に帰宅部の自分にも応援がかかったのだろう
ふとこれは人にできる事だろうかと考えてしまう
「わかった、さっさと終わらせるぞ」
「おう!助かったぜ!」
VR画面が消える
「愛梨、悪いけどちょっと出かける!」
「え?兄さんアボカドは?」
「頼む!取っておいてくれ!」
外に出られる格好に即座で着替え我が屋敷を飛び出す

-Airi-

「珍しく兄さんが必死な顔をしてました…」
実はさっき私も何か聞えていた
声…ではなくチューニングが合ってないような雑音だったが
声と言われればそうだったかもしれない
兄さんはその声に耳を傾けたかったみたいだけど…
兄さんが飲んでいた紅茶を飲む
独りはイヤだ
あの日…孤独を破ってくれたのは兄さんだった
「あの声は兄さんを遠くに連れて行ってしまう気がする…」
兄さん…必ず帰って来てくださいね

-END-

実際に見たら酷い惨状だった
いろんな所が荒らされているのが外からでも分かる
校門を警察が出入りしてた
無駄に広い我が学校だからだろうか?
教師もてんやわんや、遅い運動部なんかは帰るところだったのでなんなく校門を通過できた
部室に向かう途中にふと誰もいない暗がりが気になり目線を向けると

グルルルルル…

「え?」
あれは…
奥へ消えていった謎の四足生物を追いかける
どこからか分からないが…
クーラーの効いた部屋から真夏の外に出たあのまるっきり空気が変わる感覚
どこからか聞えていた人の声
パトカーのサイレン音
全ての音が風が草木を打つ音だけになった

空間を飛び越えた

黒く赤い眼の怪物が飛び掛ってきた
俺は反射で右に飛ぶ
「キシャーーー!!!」
カサカサと今度は四足で走ってくる
「うお!?」
速い!
とっさに足元の石を蹴り飛ばす
ちょうど口らしき中に石が入り
砕けた
「おーすばらしい顎だ…感心してる場合じゃないな」
見たことある…が思い出せない
「おい!そこのてめぇ!」
「え?その声は…」
さっき家にいるときに聞えてた声が
はっきりと聞えた
鎧の頭がケモノにすり替わったような見かけのヤツだった
なぜかソイツには恐怖心を抱かなかった
「やっと会えたぜ…」
直感が告げていた
「あんた…ファディアか?」
「お?なんで俺の名前を?」
そのとき怪物が飛び掛ってきたのでまた右に飛んで避ける
「話している暇はなさそうだな!」
「コイツどう使うんだ?」
パスケースから白いカードを出す
「なんでそんなもんを…まぁいい好都合だ!よこせっ!」
反射的に怪物の攻撃を避けてファディアにカードを投げる
「ふんっ!」
ファディアの手に渡った瞬間に白いカードにデータが流れ込むかのように謎の文字が走る
「ほらよっ!」
カードが飛んで俺の手に収まる
それと同時にファディアの手のひらから光の玉が飛ぶと俺の腰に当たりベルトっぽい物が固定される
「カードをスロットにいれて押し込め!」
カードを差込む
<トランス、レディゴウ!>
「スタイルチェンジ!!」
飛び出してるスロットを押し込む
ベルトから光の輪が身を包む
<チェンジ フェアリー・トランス!>
姿が変わるときにファディアが体に入り込んでくる
「グルル!!」
先ほどと同じ加減で蹴りをかますと怪物が吹き飛ぶ
(そこまで力入れなくても大丈夫だぜ。分かりにくいだろうがお前の力は上がってる)
「おう、分かった!」
飛び掛ってきた怪物を空中で殴り飛ばす
「キシャシャシャ…!」
左腰にあった剣を構えると果敢に向かってくる怪物を居合い切りする
「はぁぁぁぁぁ!!!」
ブレードに力が溜まる
「キシャァァァァァ!!!!」
「セイッ!」
空中で怪物を切り裂く
「グァァァァ!」
あっけなく力尽きた怪物はどさりと倒れ黒い炎と共に消える
(オマエ…才能あんな!)
「まぁ…ね」
体からカードが飛び出し姿が元に戻り
他の音も戻ってきた
「あれが…」
誰にも聞こえない声で呟く
「さて!。相棒、よろしくな」
「あぁ」
ファディアの大きい手となんとか握手する
さて…鈴村のところに行ってやるか

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